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会社概要
広島市中心部、本川町電停のすぐそばに店舗を構える「MAISON RABELAIS(メゾン・ラブレ)」様は、まるでパリの街角を思わせる上質な空間と、ひとつひとつ丁寧に作られたスイーツで多くの人々を魅了する洋菓子店です。
厳選した素材と確かな技術で作られたお菓子には、“誰かを喜ばせたい”という想いが込められており、訪れる人の心をあたたかく満たしてくれます。
そんな「MAISON RABELAIS(メゾン・ラブレ)」様では、2025年春、初めての外国人スタッフとしてインドネシア出身のエカさんを迎え入れられました。文化や言語の壁など、初めての受け入れにあたっては不安もあったとのことですが、今では社内の雰囲気に新しい風を吹き込む存在として、大切な仲間の一人となっています。
今回は、外国人採用に踏み切ったきっかけや、実際に受け入れてみて感じたことなどを、代表の谷川社長様に伺いました。
今回、特定技能外国人を受け入れることにしたきっかけは何だったのでしょうか?
洋菓子業界では、若手が短期間で離職する傾向が強く、2〜3年で辞めてしまうケースがほとんどです。
当店も同様で、せっかく育てても続かない現実に悩んでいました。
「人が足りない」よりも、「定着しない」が一番の課題だったんです。そんなとき、叔父から「特定技能という制度がある」と聞き、シナジーさんのセミナーに参加したのが始まりです。
制度についての知識は全くありませんでしたが、丁寧なサポートと「いい人がいれば」という気持ちで、前向きに検討を始めました。
洋菓子業界ではまだ導入例が少ない中、早めに経験しておくことも学びになると感じ、採用に踏み切りました。
最初はどんな不安がありましたか?
最初は不安だらけでした。
部屋の手配、ご飯、宗教的な配慮、保険の手続き…日本人を雇うのとは全く違うことばかりで、「何から準備を始めればいいのか分からない」という状態でした。
想像がつかず、漠然としたハードルの高さがあり、「やってみてダメならそのときに考えよう」という割り切りも必要だったと思います。
それでも、シナジーさんが丁寧に流れを説明してくれたことで、少しずつ前に進めるようになりました。「流れに乗るように進んだ」という表現が近いかもしれません。
結果的に、良いご縁があり、エカさんと出会えたことで不安は少しずつ和らいでいきました。
受け入れ時の職場の反応はいかがでしたか?
スタッフの中には、「外国人が来るの?」と驚いた人もいたと思います。
言葉や文化の違いへの不安や、「日本人ではダメなのか」という疑問もあったはずです。
特に、外国人と一緒に働いた経験がない人には戸惑いが大きかったでしょう。
私自身、海外で修行してきた経験があるため、「世界の人と協力して働ける職場をつくりたい」という思いがあり、外国人を受け入れる旨をスタッフにも伝えました。
何より、エカさんが明るくて協調性がある人だったこともあり、徐々に自然な形で職場に馴染んでいきました。
最初の壁を乗り越えるには、やはり「この人と一緒にやっていく」とみんなが意識することが大事なんだと実感しています。
日本人に限らず、採用で重要視することは何ですか?
採用時に一番重視しているのは“性格”です。
技術や経験は後から育てられる部分もありますが、人柄は簡単に変えられるものではありません。
とくに素直で前向きな人は、指示に対して柔軟に対応できますし、わからないことを「わからない」と言える素直さはとても大切です。
洋菓子店の現場はスピード感や協調性も求められるため、性格が職場の空気に大きく影響します。
実際、エカさんは明るくて前向きな姿勢が周囲にも良い影響を与えています。
だからこそ、最終的には「この人と一緒に働きたい」と思える人かどうかが、採用における一番の基準になっています。
実際に働いてもらって感じたことは何ですか?
エカさんが入社してまず驚いたのは、その馴染みの早さです。
年齢が近い若手スタッフとの関係もスムーズで、自然にチームの一員として溶け込んでいきました。
最初は、お祈りや食事など宗教面の配慮も必要で、スタッフに丁寧に説明し理解してもらいましたが、大きな混乱もなく受け入れが進みました。
さらに、彼女の働き方が周囲に良い影響を与えています。
たとえば、「終わったら帰る」「必要があれば残る」というメリハリのある働き方が、日本人スタッフにも働き方を見直すきっかけになりました。
無意識の“空気を読む文化”に縛られすぎず、健全な距離感で働く姿勢は、今の若手にとっても良い手本になっています。
不安はどう変わっていきましたか?
文化や言語の違いに対する不安はありましたが、実際にエカさんが働き始めてからは、そういった不安は徐々に解消されていきました。
本人が前向きに取り組んでくれているのが何よりの理由だと思います。
洋菓子の仕事は毎日違う業務があり、スタッフ構成によっても日々の役割が変わるため、単調にならず、彼女にとっても刺激と思います。
いろんな作業を覚えながら、自分なりにやりがいを見つけてくれている印象です。
今では「不安」よりも「どこまで伸びてくれるのか」という“期待”の方が大きく、今後の成長が楽しみな存在になっています。
エカさんの技術や仕事ぶりについてはいかがでしょうか
エカさんは、日本での製造業経験があったため、現場でのルールや働き方には比較的スムーズに慣れてくれました。
洋菓子の技術はまだこれから学んでいく部分が多いですが、指導したことを素直に実践する力があります。
現在はゼリーやプリンの製造、生菓子の仕上げ、品出しなどの業務を担当しています。
今後は根気も必要なケーキ作りの作業などにも関わってもらう予定です。
手先の器用さや集中力が求められる作業にも挑戦してもらいながら、経験を重ねてもらっています。
まだ伸び代は大きいですが、何より真面目に取り組む姿勢があり、今後がとても楽しみです。
特定技能生に対して教育で意識していることはありますか?
日本語でのコミュニケーションにはまだ不安もありますが、伝え方を工夫すれば十分に意思疎通は可能だと感じています。
特に意識しているのは、曖昧な言い方を避けることです。
「〜してもらえると嬉しい」「できれば〜」といった日本人特有の遠回しな表現は使わず、「これはOK」「これはダメ」「こうして」と、明確に伝えるようにしています。
「いいよ」がYESなのかNOなのかは、文化によって解釈が違う場合もありますので、言葉の選び方や単語での確認も大切にしています。
文化の違いがあるからこそ、「分かりやすく伝える工夫」が教育ではとても重要だと実感しています。
今後の外国人採用については、どんな風に考えられていますか?
現状では、日本人スタッフも安定しており、すぐに次の外国人採用を検討しているわけではありません。
人手が足りている今、無理に増やす必要はないと考えています。
ただし、将来的に人員が減ったり、状況が変われば、再び採用することもあると思います
国籍に関係なく、良い人がいれば受け入れたい」というスタンスは変わっていません。
また、良いご縁があればまたお願いしたいという気持ちはあります。
これから外国人受け入れを検討している企業へ一言よろしくお願いいたします。
初めて外国人を採用する際には、たくさんの不安がありました。
言葉の壁や文化の違い、実際に一緒に働けるのかという心配もありました。
でも、それ以上に「やってみないと分からない」という想いが後押しになりました。
外国人採用は、ある意味「出会い」だと思っています。
恋愛と同じで、最初からうまくいくとは限りませんが、相性が良ければかけがえのない存在になる。
だからこそ、「やってみてから考える」くらいの柔軟な姿勢で踏み出してほしいと思います。
実際に受け入れてみて、「不安よりも喜びの方が大きい」と感じました。
新しい視点や価値観が職場に入り、結果としてみんなが成長できる。そんな経験を、ぜひ一社でも多くの企業にしていただきたいです。