経営者向け
2021/06/05 (土)
乾 恵

競争のない世界を創るブルー・オーシャン戦略とは?

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競合他社との毎日の争いに苦労していませんか?
利益がなかなか上がらず困ってませんか?
それはもしかしたら自社の製品が
他社の製品と同様のものを販売していたり、
はたまた他社に自社の製品を真似されていたりするからかもしれません。
そこで、競合他社とは何か違うものを作ろうと
考えたことは幾度となくあるでしょう。
しかし、実際にはどういう風に考えればいいのかが分からなかったり、
考えることができたとしても製品レベルは向上していなかったりと
悩まされてきたことでしょう。
そこで、今回は経営戦略の中でもブルー・オーシャン戦略を扱い、
どのように競争のない世界を創り上げるのかについて解説していきます。
まず今回のポイントは以下の2つです。
  • ブルー・オーシャン戦略は競争のない市場空間であり、顧客の新たな需要を掘り起こすものであるということ。
  • 低コストと買い手にとっての価値の差別化により「バリュー・イノベーション」が生まれるということ
*「バリュー・イノベーション」とはコストを下げ、
 他社よりも優れた価値を創ることで
 革新的な価値が生み出せるというもの
この2つを意識しながら記事を読み進めると、
分かりやすいかと思います。
まず、バリュー・イノベーションを成し遂げ、
ブルー・オーシャンを創造するのに欠かせない
分析フレームワークである戦略キャンバスを描きます。
戦略キャンバスを描くことの目的は2つあり、
  • 既存の市場空間について現状を把握すること
  • 競合他社が何に投資しているか、各社が製品、サービス、配送などの何を売りにしているのか、さらには顧客はどのようなメリットを享受しているのかなどが理解できること
と、「ブルー・オーシャン戦略」では定義されています。
つまり戦略キャンバスでは既存の市場空間において
企業のパフォーマンスが明確になるということです。
では実際に、戦略キャンバスを
サウスウエスト航空の事例を用いて見ていきましょう。
サウスウエスト航空はアメリカの航空会社であり、
LCC(ローコストキャリアの略。格安航空会社のこと)の
先駆けとなった企業です。
サウスウエスト航空は、
それまでのアメリカの移動手段としての
飛行機の概念を覆しました。
それは、1970年代のアメリカでは、
飛行機=長距離、短時間、
高価格高速バス=短距離、長時間、低価格
という状態で各航空会社が競争していたのですが、
サウスウエスト航空は、
サウスウエスト航空=短距離、短時間、低価格という
短距離を短い時間でしかも安く行きたいと思っている顧客、
つまり、高速バスの顧客に移動時間の短さという価値を武器に
他社と差別化しました。
このグラフを見ると、サウスウェストが
既存の航空会社と全く異なる曲線を
描いていることが分かります。
この曲線のことを「価値曲線」といいます。
グラフの下に書かれたそれぞれの要素に対して
価値曲線が上がったり下がったりしているのが
分かると思います。
ではこの価値曲線は何を基準に
決められているのでしょうか。
戦略キャンバスを描くうえで、
新たなバリュー・イノベーションを生み出す基準として
4つのアクションというものがあります。
4つのアクションとは、減らす・取り除く・増やす・付け加える
の4つがあり、
  • 減らす=業界標準と比べて思い切り減らすべき要素は何か
  • 取り除く=業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべき要素は何か
  • 増やす=業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か
  • 付け加える=業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か
と「ブルー・オーシャン戦略」では定義されています。
減らす要素と取り除く要素が何か考えることで、
競合他社よりもコスト面で優位に立つための
アイデアが浮かんでくると思います。
また、増やす要素と付け加える要素が何か考えることで、
買い手にとっての価値を高め、新たな需要を生み出すための
アイデアが浮かんでくると思います。
では、先程のサウスウェスト航空の例を用いて、
4つのアクションから派生した
「アクション・マトリクス」を見てみましょう。
取り除く→減らす→増やす→付け加えるの順に
見ていきます。
サウスウエスト航空は、紙のチケットを廃止して
座席を選択できなくしたり、
この頃には少なかった地方空港を直行便でつなぐ
(ポイント・トゥ・ポイント)ことにより、
大胆にコスト構造を見直し、削減しました。
また、思い切って低価格に設定したり、
機内食を水とピーナッツだけにしたりと
いらないところは完全に削減しました。
また、低価格に抑えたとはいえ、
顧客の満足度が高かったり、
移動時間を短くすることによって価値を増やしてみたり、
ほとんどなかった地方空港同士の直行便を付け加えたことで
大幅に顧客価値を上昇させました。
もう一度戦略キャンバスの図を見ていただくと、
サウスウェスト航空の戦略キャンバスは、
この4つのアクションから派生したアクション・マトリクスによって
決定づけられていたことが分かります。
このことからサウスウェストは
航空業界の常識であった要素を減らす、
取り除くことによって低コストを実現し、
また航空業界にはなかった、できなかった要素を増やす、
付け加えることによって他社との差別化に成功したのです。
弊社で毎月開催している社長の学校「プレジデントアカデミー」の
今月6月のテーマは「ポジショニング」です。
商品サービスの差別化を図り、
ライバルと戦わなくてもいい市場ポジションを
見つける方法についてお伝えします。
少しでも気になった方はこちらのページを御覧ください。
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