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2021年6月

働く従業員の幸福度を高める職場環境を作るコツ4つ~人材が定着し、活躍する人材を育成する~
4人に1人が5月病を経験したことがあるそうです。 5月病の主な原因としては、 こだわりすぎてしまう、目標を見失ってしまう 新しい環境や人間関係に馴染めないなど。 せっかく採用した優秀な人材が 5月病を機に辞めてしまうことは非常に もったいないです。 今回は人材が定着し、 働く従業員の幸福度を高める 職場環境を作るコツ4つを紹介します。 1.自由度を大きくする タバコを吸わないが自由度が小さい会社と タバコを吸うが自由度が大きい会社では、 タバコを吸わないが自由度が小さい会社で働くの方が 健康被害が大きいと言われています。 それほど人間は縛られることに対して ストレスを感じてしまうのです。 では、具体的にどのように自由度を 与えれば良いのでしょうか? ポイントは2つです。 ①労働時間はどこまで好きに選べるのか ②仕事のペースはどこまで社員の裁量で決めれるか 特に、女性は仕事に取組む場所と タイミングの自由が効く (在宅勤務、フレックスタイム制など)ことを求め、 男性は仕事の進め方と作業ベースの自由が効く (締め切りを自分で決められる、 タスクの順番を自分で決められるなど)ことを 求める傾向が強いようです。 2.成長や達成感を感じられる仕事である 人間のモチベーションがもっとも高まるのは、 「少しでも仕事が前に進んでいる時」と言われています。 そのため、仕事の成果をしっかりと見える化し、 成果が出た後になるべく早くフィードバックすることが重要です。 3.従業員のモチベーションタイプに合わせ、環境を構築する 人間のモチベーションには 攻撃型と防御型の2つがあると言われております。 攻撃型の人の特徴としては、 得られる利益に焦点を当てるタイプで、 ・競争に勝つのが好き ・スピードが早く、ポジティブ ・お金や名誉などの報酬に固執する などの特徴があります。 対する防御型は 競争に負けないために働くタイプで、 ・自分の責務を果たすのがゴール ・安全な場所に身を置く ・失敗を恐れ、注意深く進める などの特徴があります。 従業員の方をそれぞれのタイプに分類し、 タイプに合わせて環境を構築してみてください。 4.人のために役立っている仕事だと感じられること 2007年にシカゴ大学が行った職業リサーチによると、 満足度の高い仕事トップ5は以下のようになりました。 1位 聖職者 2位 理学療法士 3位 消防員 4位 教育関係者 5位 画家・彫刻家 これらの仕事に共通することは いずれも人のために役立っていると 感じることができる仕事だということです。 人は親切によって、 ①自尊心 →役に立ったことにより、自分が有能だという感覚が生まれる ②親密感 →親切のおかげで、他人と近くなり孤独感から逃れやすくなる ③自律性 →自分で自分の幸せを選択できたと思える 以上3つの欲求を満たすことができます。 自社の仕事がどのような人の役に立っているか。 社員に伝え続けることもそうですし、 お客様の声を集めることも良い手段かもしれません。 ポイントは、 実際に人のためになっているかではなく、 自分でタメになっていると心から信じられることです。 人材が定着し、従業員の幸福度を高める 職場環境を作るコツ4つを紹介しました。 少しでもお役に立てていれば幸いです。
乾 恵

会社の文化を変革するための6つのポイント
経営の中でとても難しいテーマである、組織文化の変革。 変わりたくないのが人間です。 組織文化の変革とは行動変容だと言えます。 総論賛成、各論反対。 日頃から会社の不満を言いながらも、 いざ自分のこととなると面倒な話だということになります。 自らの意思で変わるものだけが生き残ります。 単体ならばそれでも良いですが、 組織の場合、変わろうとしないものに 変わってもらわないと共倒れになります。 変わってもらうためのきっかけは、 危機感の共有です。 しかし、危機をただ伝えるだけでは 組織全体の行動変容は簡単に起きません。 人には想像力の違いがあり、 事象一つからそれを自分ごとへと想像し、 危険視出来る人から、 自分の身に降りかかるまでは他人事で、 事態を楽観視する人まで多様だと思います。 星野リゾートの星野代表が、社員に倒産確率を発表しているのも 組織変革のための行動だと言えると思います。 ちなみに5月の倒産確率は38.5%だったようです。 確かに、「このままでは会社がだめになる」と言われても 会社に行けばいつも通り職場があり、 給料は振り込まれ、いつも通り同僚がいて・・・と、 日常が変わらなければ切実感はありません。 したがって、時には人為的な施策が 必要になることもあります。 自分の身にも危機が迫るような強烈な人事施策や、 その組織の象徴的な存在、例えば工場の 閉鎖や縮小売却等といったところ。 ただし、それはきっかけに過ぎません。 そこから変革に導くためには 少なくとも6つポイントがあると思っています。 ①魅力的な未来図の提示共有 危機感だけでなく、行動変容したくなる 強い動機付けが必要です。 受益者にとってメリットを感じられるものを より具体的に示すと良いです。 ②危機感が強いうちに一気に進めること。 喉元過ぎれば熱さ忘れるのが人間です。 長引くほど、今の状態自体が日常となり 変革慣れもします。 その結果「そこまでしなくても・・・」などと言われかねません。 波風立てることを嫌いな人が多い日本で、 時間ばかりかかって何も変わらない変革が 散見されるのはこの特性かと思います。 ③変革リーダの覚悟 さまざまな抵抗が予想されるので、 そこにいかに毅然と向き合うか。 ぶれない信念に徹する。 リーダーの本気の迫力が必要です。 ④変革リーダーへの信頼 リーダーは言行一致でなければいけません。 自ら範を示すことですね。 そして現場に耳を傾けなければなりません。 彼らの目の前にある障害を理解して 一緒に乗り越える人だと認識してもらって、 信頼が厚くなります。 ⑤現場の参画 自分たちも一緒になって関わったからこそ、 行動変容へのコミットメントが高まります。 ⑥小さくても良いので早く何らかの実績を出す。 変えるメリットの体感が変える動機を高めていきます。 JAL(日本航空)の事業再生の本質は 組織文化の変革だったと思います。 稲盛和夫氏の手腕はまさに、 この6つのポイントを押さえた行動です。 コロナ禍において様々な自社の経営について 考えるきっかけになり、あとは行動するだけです。
乾 恵

競争のない世界を創るブルー・オーシャン戦略とは?
競合他社との毎日の争いに苦労していませんか? 利益がなかなか上がらず困ってませんか? それはもしかしたら自社の製品が 他社の製品と同様のものを販売していたり、 はたまた他社に自社の製品を真似されていたりするからかもしれません。 そこで、競合他社とは何か違うものを作ろうと 考えたことは幾度となくあるでしょう。 しかし、実際にはどういう風に考えればいいのかが分からなかったり、 考えることができたとしても製品レベルは向上していなかったりと 悩まされてきたことでしょう。 そこで、今回は経営戦略の中でもブルー・オーシャン戦略を扱い、 どのように競争のない世界を創り上げるのかについて解説していきます。 まず今回のポイントは以下の2つです。 ブルー・オーシャン戦略は競争のない市場空間であり、顧客の新たな需要を掘り起こすものであるということ。 低コストと買い手にとっての価値の差別化により「バリュー・イノベーション」が生まれるということ *「バリュー・イノベーション」とはコストを下げ、 他社よりも優れた価値を創ることで 革新的な価値が生み出せるというもの この2つを意識しながら記事を読み進めると、 分かりやすいかと思います。 まず、バリュー・イノベーションを成し遂げ、 ブルー・オーシャンを創造するのに欠かせない 分析フレームワークである戦略キャンバスを描きます。 戦略キャンバスを描くことの目的は2つあり、 既存の市場空間について現状を把握すること 競合他社が何に投資しているか、各社が製品、サービス、配送などの何を売りにしているのか、さらには顧客はどのようなメリットを享受しているのかなどが理解できること と、「ブルー・オーシャン戦略」では定義されています。 つまり戦略キャンバスでは既存の市場空間において 企業のパフォーマンスが明確になるということです。 では実際に、戦略キャンバスを サウスウエスト航空の事例を用いて見ていきましょう。 サウスウエスト航空はアメリカの航空会社であり、 LCC(ローコストキャリアの略。格安航空会社のこと)の 先駆けとなった企業です。 サウスウエスト航空は、 それまでのアメリカの移動手段としての 飛行機の概念を覆しました。 それは、1970年代のアメリカでは、 飛行機=長距離、短時間、 高価格高速バス=短距離、長時間、低価格 という状態で各航空会社が競争していたのですが、 サウスウエスト航空は、 サウスウエスト航空=短距離、短時間、低価格という 短距離を短い時間でしかも安く行きたいと思っている顧客、 つまり、高速バスの顧客に移動時間の短さという価値を武器に 他社と差別化しました。 このグラフを見ると、サウスウェストが 既存の航空会社と全く異なる曲線を 描いていることが分かります。 この曲線のことを「価値曲線」といいます。 グラフの下に書かれたそれぞれの要素に対して 価値曲線が上がったり下がったりしているのが 分かると思います。 ではこの価値曲線は何を基準に 決められているのでしょうか。 戦略キャンバスを描くうえで、 新たなバリュー・イノベーションを生み出す基準として 4つのアクションというものがあります。 4つのアクションとは、減らす・取り除く・増やす・付け加える の4つがあり、 減らす=業界標準と比べて思い切り減らすべき要素は何か 取り除く=業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべき要素は何か 増やす=業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か 付け加える=業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か と「ブルー・オーシャン戦略」では定義されています。 減らす要素と取り除く要素が何か考えることで、 競合他社よりもコスト面で優位に立つための アイデアが浮かんでくると思います。 また、増やす要素と付け加える要素が何か考えることで、 買い手にとっての価値を高め、新たな需要を生み出すための アイデアが浮かんでくると思います。 では、先程のサウスウェスト航空の例を用いて、 4つのアクションから派生した 「アクション・マトリクス」を見てみましょう。 取り除く→減らす→増やす→付け加えるの順に 見ていきます。 サウスウエスト航空は、紙のチケットを廃止して 座席を選択できなくしたり、 この頃には少なかった地方空港を直行便でつなぐ (ポイント・トゥ・ポイント)ことにより、 大胆にコスト構造を見直し、削減しました。 また、思い切って低価格に設定したり、 機内食を水とピーナッツだけにしたりと いらないところは完全に削減しました。 また、低価格に抑えたとはいえ、 顧客の満足度が高かったり、 移動時間を短くすることによって価値を増やしてみたり、 ほとんどなかった地方空港同士の直行便を付け加えたことで 大幅に顧客価値を上昇させました。 もう一度戦略キャンバスの図を見ていただくと、 サウスウェスト航空の戦略キャンバスは、 この4つのアクションから派生したアクション・マトリクスによって 決定づけられていたことが分かります。 このことからサウスウェストは 航空業界の常識であった要素を減らす、 取り除くことによって低コストを実現し、 また航空業界にはなかった、できなかった要素を増やす、 付け加えることによって他社との差別化に成功したのです。 弊社で毎月開催している社長の学校「プレジデントアカデミー」の 今月6月のテーマは「ポジショニング」です。 商品サービスの差別化を図り、 ライバルと戦わなくてもいい市場ポジションを 見つける方法についてお伝えします。 少しでも気になった方はこちらのページを御覧ください。
乾 恵