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2023年12月

特定技能外国人の定着のためには?
人手不足に対応するために、 多くの企業が特定技能外国人の受け入れを行うようになりました。 多くの企業が悩まされているのが、特定技能外国人の転職です。 技能実習制度も新制度への移行で、 転職ができるようになる見込みですが、 どうすれば離職を抑えられるのか、ポイントをまとめました。 Point① 給与設定 仕事を選ぶ際の基本要因として、 特定技能者は給与、特に可処分所得がどの程度あるか ということを非常に重視しています。 もちろん、給料だけで転職を決めるわけではないですが、 独自のネットワークで、日々、求人等の情報共有をしており より高待遇の求人があれば、転職する可能性も高いです。 同じ業種の平均はどのくらいかということを しっかりとリサーチし、可能な範囲で給与設定することが重要です。 Point② ライフステージ変化への理解 20代半ば~30代前半の特定技能者は、 結婚・出産・親の介護などの 大きなライフイベントを迎えることが多いです。 このため、長期休暇や運転免許取得の希望が増える傾向があります。 企業としては、これらを理解し、 法律や企業独自のルールをきちんと説明することが大切です。 柔軟な対応を心がけ、双方が納得できる形を追求することが望ましいです。 また、国によって、大事なイベントや祭日など 特徴的なものもありますので、文化の理解を深めることも重要です。 Point③ 成長できる環境の提供 給与だけでなく、自己成長の機会も特定技能者にとって重要です。 具体的な仕事内容をしっかりと説明し、 将来のポジションやキャリアのイメージを共有することで、 彼らの成長をサポートする環境を提供することが大切です。 また、日本語能力をもっと上げたいと感じている外国人も多いです。 日本語学習の機会の提供は義務化されていますが、 どのような日本語学習があったら良いのか、 しっかりとコミュニケーションを取ることが重要です。 Point④ 職場の人間関係の良好さ 良好な職場の人間関係は非常に重要です。 定期的なミーティングや面談、さらには食事会や社員旅行など 様々な取組みを行う企業も増えてきています。 最も重要なことは、個人はもちろん、出身国について興味を示すことです。 例えば国旗を掲げたり、他国の文化を取り入れたりするなど、 出身国に興味を持っていることがわかるだけでも非常に嬉しいと感じるようです。
乾 恵

新規事業への賢明なる挑戦 ~経営者が直面するリアリティとは~
経営者の皆様におかれましては、 常に市場の波に立ち向かう決意と共に、 事業の持続可能性について考える日々が続いていると思います。 帝国データバンク『全国企業倒産集計2023年度上半期報』によると、 2023年4~9月までの倒産件数は、4年ぶりに4,000件を超え 15年ぶりに全7業種・全9地域で前年同期を上回る結果だったようです。 主因別にみると「販売不振」が3,312件と最も多く、 全体の78.7%を占めました。 そのような状況下でも、新しい事業を模索している会社が多いように思えます。 中には自社の本業とは関係ない新規事業を行ったり、 異分野に進出しようとする会社もあります。 「新しいことに挑戦する」「失敗を恐れない」 こういった考え方は素晴らしいのですが、新規事業が成功する確率は低く、 経営状況の厳しい会社にとっては致命傷にもなりかねません。 中小企業庁『2017年版中小企業白書』によると、 新事業展開を行った会社のうち 「成功している」と回答した企業は約28%でした。 新規事業には魅力がありますが、成功率の実態は冷徹です。 時には本業から目を逸らさせ、 予期せぬリスクへと導く可能性もあります。 そうした中で、新規事業の成功確率を高めるためには どのような戦略を取れば良いのでしょうか? まず基本となるのは「既存事業の再評価」です。 新しい挑戦は魅力的ですが、 既存の事業基盤をなおざりにするわけにはいきません。 なにか新しいことを始めようと思ったときには 期待と不安両方あると思いますが、 期待が上回り本業を見失ってしまうことがあります。 新規事業は、既存事業とのシナジーを重視し、 根本的な顧客理解に基づいて検討されるべきです。 ここに成功の鍵があります。 既存の顧客ネットワークを活かすことで、以下のメリットが期待できます。 ・お客様の満足度を向上させることができる ・追加で仕事をいただくことができる ・単価を上げることができる ・広告宣伝費を抑えることができる また、よく自分自身に言い聞かせていることではあるのですが 風呂敷を広げるのは簡単ですが、たたむことは大変です。 撤退戦略は新しいビジネスを始める前に定めておくべきでしょう。 それは、成功の見極めだけでなく、情熱の継続にも不可欠です。 不透明な未来に対しては、逆算思考で計画を立て、 リスクを見据えた上で、情熱を持続させる指標を設定することが賢明です。 新たなビジネスは、決して感情に流されることなく、 戦略的に、そして計画的に進める必要があります。 そこには、時に冷静さを欠いてはならない 経営者の決断が求められているのです。
小濱亮介